【特集】口腔ケアで感染症を防ごう!自宅と歯科医院でできる新型コロナウイルス感染症対策

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 新型コロナウイルス感染症が流行し、心が落ち着かない日々を過ごされている方も多いでしょう。どなたも、ご自身やご家族の感染予防と感染拡大防止のために、手洗い・うがい、外出を控えるなど様々な予防や対策を取られていることと思います。 

 実は、正しい『口腔ケア』で、感染症予防ができることはご存じですか?口腔とはお口の中のこと、つまり口腔ケアとはお口の中のケア全般のことです。高齢者向けの特別なケアと認識されている方もいらっしゃるかと思いますが、実は年齢に関わらず重要なものです。正しく行うことで感染症以外にも様々な病気のリスクを低減することができると言われています。ここでは、口腔ケアと感染症、そして全身疾患の関係について分かりやすく説明いたします。

1. 口腔ケアとは 

 口腔ケアとは、口の中を清潔な状態に保ち、口内の細菌をコントロールするケアのことを指します。虫歯や歯周病の治療、クリーニングなど歯科医院で行う『プロフェッショナルケア』 と、歯磨き、フロスなど自宅で行う『セルフケア』 に分かれます。

 口の中にはたくさんの細菌がいることはご存じですか?よく歯を磨く人でも1,000~2,000億、ほとんど歯を磨かない人は1兆以上の細菌が口の中にいると言われています。細菌は食べカスなどを栄養源にして増殖し、歯の表面や歯と歯ぐきの間などに「バイオフィルム」という細菌の塊を形成します。バイオフィルムの中の細菌数は、1mgあたり数億から数兆とも言われ、虫歯や歯周病の原因菌が無数に存在しているのです。「バイオフィルム」はネバネバしていて歯にくっついているため、うがいや歯磨き(電動歯ブラシを含む)では除去できません 。そのまま放置しておくと、虫歯や歯周病を引き起こし、さらに口内環境を悪化させてしまいます。
バイオフィルム
 口の中の環境を保つために、まずは日々の汚れを歯磨き等で取り除く『セルフケア』が大切ですが、どんなに磨いてもすべての汚れを除去することはできません。そこで、歯科医院のクリーニングで定期的に汚れを除去する『プロフェッショナルケア』を受けることで、口腔内の細菌をコントロールします。

口腔ケアの目的は口内の細菌をコントロールし、虫歯や歯周病の予防、さらに口内の自浄作用の向上を目指すこと です。必要とされるケアの内容や頻度は、年齢や生活習慣、現在の口内環境などによって異なるため、自分に合ったケアを行うことが重要 です。

 さらに、近年、口腔内の環境が体の健康とも密接な関りがあるという研究結果が多く出ており、口腔ケアは体全体の健康維持という観点でも注目が集まっています。

2. 感染症と口腔内細菌

 感染症は、ウイルスが口や鼻などの粘膜から体内に侵入することで引き起こされます。万が一粘膜に付着しても、粘膜にはウイルスの侵入を防ぐ防御機能が備わっているため、簡単に体の中に入ることはできません。しかし、口腔内の衛生環境によっては、体の中に入りやすい状態を作ってしまいます。

 では、どのような口腔環境だと、ウイルスが侵入しやすいのでしょうか?インフルエンザなどのウイルスは、粘膜に付着すると「プロテアーゼ」というタンパク質を分解する酵素を出し、体の中に侵入します(1。実は、このプロテアーゼという酵素を口腔内細菌も作り出しているのです。特に歯周病菌の一種であるジンジバリス菌がプロテアーゼを多く分泌することが分かっています(2。また、この菌は「嫌気性菌」といって、空気との接触を嫌うため、歯の表面ではなくバイオフィルムの中に生息しています。つまり、口の中が不衛生な状況が続きバイオフィルムができると、ウイルスの侵入を助長する酵素を出す細菌が増え、ウイルスが体の中に侵入しやすくなってしまう のです。

 口腔内の環境が感染率に影響することを示す研究結果があります。歯科医院での定期的なクリーニングを受けた人と受けていない人でのインフルエンザの発症率の違いを調べたものです。クリーニングを受けた人は、うけなかった人と比べて発症率が10分の1 になりました。
インフル発症率
 このように、口腔内の環境の改善によって感染リスクを減らすことができます。

3. 肺炎と口腔内細菌

 さらに、口腔内の細菌が全身の様々な病気に影響していることが、昨今の研究で明らかになっています。細菌は腫れた歯ぐきから血液中に入ったり、食べ物と一緒に体内に運ばれることで、全身へと広がり、各所で悪影響を及ぼします 。口腔内細菌の影響が関係する病気には、糖尿病、脳卒中、冠動脈性心疾患、低体重児早産などがありますが、最も多くの人に関係するのは肺炎です。

 肺には普段から微量の口腔内の細菌が入り込んでいます。健康な状態では特に問題はありませんが、免疫力が低下すると、細菌が肺の中で増殖し細菌性肺炎を引き起こす のです。肺炎の原因菌は多数存在しますが、歯周病菌もその一つです。歯周病に罹っていると肺炎になるリスクが高いと言われています。

 特に高齢者の場合、「誤嚥」といって、食べ物や唾を飲み込む筋肉が弱り、誤って気管に入ってしまう症状が起こりやすくなります。誤嚥によって細菌が気管から肺に入り肺炎を引き起こします。

 さらに、細菌性肺炎は、新型コロナウイルスによる肺炎の重症化にも関係があるという指摘もされています 。中国武漢市の調査によると、新型コロナウイルス感染症で死亡した患者の50%が細菌性肺炎に二次感染 していたというのです(4。新型コロナウイルスによるウイルス性肺炎によって免疫力が低下し、肺に入った口腔内の細菌が増殖することで、細菌性肺炎を引き起こしていると考えられます。これが、新型コロナウイルスによる肺炎の重症化症状の一つです。細菌性肺炎への二次感染リスクを低減することで、重症化を避けられる可能性が高まります
コロナウイルス  鶴見大学歯学部教授の花田信弘氏も、「口の中の細菌が肺に入ると、ウイルスによる肺炎とは別に細菌による肺炎を起こすんです。ウイルス性肺炎と細菌性肺炎のダブルパンチが危険 なんです。ウイルス感染の予防は難しいですが、続いて起こる細菌性肺炎の発症リスクを日ごろからできるだけ低くしておくこと が、新型コロナウイルスに打ち勝つポイントだと考えています。」と述べています(5。

4.口腔ケアによる感染症予防のポイント

 このように、口腔内の細菌は、感染症や多数の全身疾患に影響を与えていますが、口腔ケアで口腔内の環境を清潔に保つことで、そのリスクを低減することが可能です。そのためには、セルフケアとプロフェッショナルケアを組み合わせた予防がポイントになります。

セルフケア
 具体的には、毎日の歯磨きとフロッシングです。磨き残しは細菌の栄養になるため、歯ブラシを小刻みに動かして1歯1歯を丁寧に 磨いてください。歯ブラシは使用していると毛の部分が摩耗して除去力が弱まるため、1か月に1回は交換 しましょう。また、抗菌・殺菌効果がある歯磨き粉 を使用すると、より良いです。
 そして、フロスによる歯と歯の間のお掃除が肝になります。歯間は食べカスがつまりやすく取り除きにくいため、細菌が増殖するのにもってこいの環境です。毎日必ずフロスを通し、歯と歯の間の汚れを取る ようにしてください。歯磨きの前に行うと、フロッシングした周囲の汚れが取れやすくなり、歯磨きの効果が高まるため効果的です。

プロフェッショナルケア
 虫歯や歯周病の方は、まず治療を行うことが大切です。歯ぐきの腫れは軽度の歯周病の可能性があるため、思い当たる方は定期検診を受けることをお勧めします。
 虫歯も歯周病も問題がないという方でも、定期的なクリーニングは必ず受けていただきたいです。どれだけ注意してセルフケアを行っていても、取り切れなかった汚れがバイオフィルムや歯石となって歯と歯茎の間に付着しています。これらはセルフケアでは取り除くことはできないため、歯科医院のクリーニングで専用の機器を使用して除去 します。老人ホームで行った研究では、プロフェッショナルケアを行った人と行わなかった人とで、5か月後に細菌数が約10分の1になったという結果が出ています(5。 口腔ケアのグラフ
 また、バイオフィルムは、完全に除去しても2~3か月ほどかけて元に戻ってしまいます。そのため、定期的なクリーニングで除去することが必要です。

いかがでしたか?口腔内の環境を整えて感染症や全身疾患を予防するために、まずはセルフケアの方法や使っているアイテムの見直しから始めてみませんか?「何年も歯医者に行ってない」という方は、危険信号です!ぜひ、定期健診やクリーニングを予約してみてください。

口腔ケア チェックリスト

  • 1日2回以上歯磨きしている
  • 歯ブラシは1か月で変えている
  • 抗菌・殺菌成分の入った歯磨き粉を使っている
  • フロスを使っている
  • 定期的(3ヶ月に1回以上)に歯科医院でクリーニングをしている

「歯医者に行きたいけど、院内感染が不安」という方へ
歯科医院では、普段から院内感染防止のために感染対策が行われております。さらに新型コロナウイルスの蔓延をうけて、対策を強化しているところがほとんどです。不安な方は、予約の前に、かかりつけの医院に問い合わせてみましょう。

1)石原和幸(2008年)歯周病原性菌プロテアーゼと歯周炎
2)山本 健二(2003年) 歯周病と病原性プロテアーゼ
3)阿部修ら(2006年)口腔ケアによる細菌性酵素活性の減少とインフルエンザ感染予防、歯界展望
4)Fei Zhouら(2020年)Clinical course and risk factors for mortality of adult inpatients with COVID-19 in Wuhan, China: a retrospective cohort study、THE LANCET
5)NHK総合テレビ「あさイチ」2020年4月20日放送
6)引田克彦ら(1997年)口腔ケアと誤嚥性肺炎予防

 

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