ご家庭で掃除にもよく使われる重曹。「重曹で歯を磨くと白くなるらしい」「虫歯が治るらしい」といううわさがあるのをご存知ですか?重曹が歯磨き粉の代わりになれば、家計にもやさしいし、お子さまにも安心して使えそうですね。でも、実は重曹歯磨きにはリスクもあるんです。ここでは、重曹歯磨きの効果とやり方 、そして注意すべきリスク をお伝えします。これを読み終えた時には、重曹歯磨きができるようになります。
Contents
1. 重曹歯磨きの効果
重曹歯磨きとは、その名の通り「重曹を使って歯を磨くこと」 です。重曹は、よく家庭で掃除に使われるほかに、ベーキングパウダーの主成分として私たちの生活に大変なじみが深いです。重曹歯磨きの効果とそのメカニズムについてご紹介します。
1-1. 着色汚れを落とす効果
重曹歯磨きのいちばん期待されている効果が、着色汚れを落とすことです。 これは、掃除の汚れ落としの使い方とだいたい同じです。重曹がもつ強力な研磨力を利用します。ふつうの歯磨き粉にも研磨剤が含まれていますが、重曹ほど強力ではありません。だから、重曹を使って歯磨きすると、いつも以上に表面の汚れが取れて歯が白くなったように感じるのです。ただ、重曹は着色汚れを落とすだけで、歯を白く漂白するようなホワイトニング効果はありません。
1-2. 虫歯予防に効く
重曹歯磨きは虫歯予防に効果 があります。なぜなら、重曹には口内を中和させる働きがあるからです。まず、なぜ虫歯ができるのかというと、口内にいるミュータンス菌が糖分を摂取し、酸を出します。この酸により歯が溶けて虫歯になります。口内は普段はpH6.7のほぼ中性ですが、飲食後2~3分でpHは4近くまで下がってしまいます。エナメル質はpH5.5以下で溶け始める(脱灰)ので、口内のpHが低いままだと虫歯のリスクが高くなります。重曹は、アルカリ性なので、食後、酸性にかたむいた口内を中和する効果があるのです。そのため、歯が溶け始めるのを防いでくれるのです。
2. 使用は週1回まで。理由は2つのリスク
重曹歯磨きは、ふつうの歯磨き粉よりも汚れが落ちる効果が高いですが、そこにはリスク もあります。そのリスクを回避するために、注意すべきことは、使用を週に1回までにすること です。ここでは、その理由である2つのリスクについてお伝えします。
2-1. リスク1. 研磨作用がつよすぎ!エナメル質を傷つける
重曹の研磨力は、歯の汚れを力強く取り除いてくれますが、強すぎて汚れだけではなく歯そのものを削り過ぎてしまいます。歯は、「象牙質」と鉄よりも固い「エナメル質」でできています。重曹の研磨力は、歯の表面についた汚れだけではなく、エナメル質を削って歯を傷つけるおそれ があります。 だからこそ、ふつうの歯磨き粉には、ここまで強力な研磨成分は含まれていない、とも言えます。また、傷ついた歯は、表面がデコボコした状態になり、かえって汚れがつきやすくなるので要注意です。
2-2. リスク2. 塩分の取りすぎ
重曹には酸性にかたむいた口内をアルカリ性で中和して、むし歯を抑制してくれる効果があります。しかし、重曹の過剰摂取は問題があります。重曹はNaHCO3で正式名称は「炭酸水素ナトリウム」です。重曹は、ナトリウム(塩)が含まれているため、腎臓病などの病気で塩分の摂取を控えている方は、知らないうちに塩分を過剰に摂取してしまうことになり注意が必要です。また、高血圧やむくみの原因ともなります。むし歯予防ができますが、やりすぎはもっと大きな病気を引き起こしてしまうおそれがあります。健康のためにも、週1回の使用にしましょう。
まとめると、注意すべきことは、毎日やらない 、ということです。 週1回の使用がベスト です。
理由は、以下の2つです。
- リスク1. 研磨力が強すぎるため歯を傷つけてしまうため
- リスク2. 塩分の取りすぎになってしまうため
3. やってみた!重曹歯磨きのやり方
重曹歯磨きは、まず歯磨き粉を手作りします。歯磨き粉には、重曹と水と混ぜるもの 、重曹とグリセリンと混ぜるもの の2パターンあります。ここでは、歯磨き粉の作り方と歯磨きのやり方をご紹介します。 自分に合った方法で、今すぐあなたも重曹歯磨きができるようになります。
3-1. 重曹歯磨き粉の作り方 2パターン
まずは、歯磨き粉を作ります。ここでは、重曹と水と混ぜるもの 、重曹とグリセリンと混ぜるもの の2パターンをご紹介します。
さきに、重曹選びの注意点 をお伝えします。重曹には種類があり、純度のちがいによって「食用」・「薬用」・「工業用」があります。この中で口に入れても安全なのは、「食用」と「薬用」の重曹です。特に何も書かれていなければ工業用の重曹である場合が多いので注意してください。薬局で売っている掃除に使う重曹は、たいてい工業用 です。
「食用」と「薬用」ですが、おすすめなのは「食用」 です。 薬用は粒子が最も細かく医療に使用されることが多いですが、そのぶん高価であるためあまりおすすめできません。重曹歯磨きでは、食用の重曹を使用するのがよいでしょう。
また、歯磨き粉の作り方でおすすめなのは、グリセリンを利用した方法です。理由は、水と混ぜる方法よりもテクスチャーがなめらかで使い勝手がいいからです。それでは、それぞれの作り方をご紹介します。
用意するもの:食用の重曹、水
まず重曹を用意してください。重曹は、食用のものを使用します。基材が重曹のベーキングパウダー(全体の4分の1が重曹)でも代用可能です。今回は、食用の重曹を使用しました。スーパーで132円(130g)でした。
歯磨き粉の作り方は簡単です。容器に、重曹大さじ一杯と水を適量入れ、混ぜ合わせれば完成です。
できあがりはこんなこんな感じです。
【感想】
水を入れると、シュワーと泡がでます。ふわふわした印象です。さわってみると、ふわふわな中にじゃりじゃりとした砂のような感じがありました。
用意するもの:食用の重曹、グリセリン(ミント適量)
重曹のほかにグリセリンを用意してください。グリセリンは、薬局で買うことができます。店頭に見当たらないなと思ったら、薬剤師の方に声をかけるとカウンターの中から出してくれると思います。こちらは、464円(100ml)で購入しました。
歯磨き粉の作り方は簡単です。重曹とグリセリンを2:1の割合で混ぜ合わせるだけ 。今回は、容器に重曹小さじ2杯、グリセリン小さじ1杯を入れ、混ぜ合わせました。
できあがりはこんな感じです。
【感想】
グリセリンを加えるとぐんと、テクスチャーが歯磨き粉ペーストっぽくなります。なめらかになり、こちらは口に入れたくなります。
3-2. 重曹歯磨きのやり方
歯磨き粉を作れば、あとは磨くだけなのですが、ポイントがあります。ここでは、重曹歯磨きの正しい磨き方 をご紹介します。
<やり方>
1.手作りした重曹歯磨き粉を指 に取り、歯に塗ってなじませます。歯ブラシで塗っても問題ないのですが、歯ブラシを持つとゴシゴシ磨きたくなってしまうので、ここはあえて指で塗ることをおすすめします。
2.歯に塗った状態でそのまま10分放置します。
3.10分後、指でくるくると円を描くように磨きます。
4.口をゆすいで終わり
※もし歯ブラシを使う場合は、やわらかめのものを使用してください。あまり強く研磨すると歯を傷つけてしまいます。
結果はこんな感じです。汚れが取れていますね!ただし、すごくしょっぱかったです。お塩を口いっぱいに含んだような、海でおぼれかけて海水を思いっきり飲み込んでしまった、そんな気分になります。グリセリン入りの方が、グリセリンの甘みを感じますがそれも最初だけで、すぐにしょっぱさがやってきます。長時間できるものではないなと思いました。
<注意点まとめ>
- 週に一度の使用にする。
- かための歯ブラシで磨いたり、指でこすり過ぎて研磨し過ぎることはしない。
4. おわりに
いかがでしたか。歯が白くなるといううわさの重曹歯磨き。実際にやってみると汚れが落ちたのでおどろきです。週1回の使用を守れば安くて簡単にできるのでお得ですよね。ぜひ、一度やってみてはいかがでしょうか?