歯磨きは歯ブラシで十分だと思っていたあなた!実は歯と歯の間(歯間)は、歯ブラシでは汚れが60%しか落ちていない 事を知っていましたか?
歯周病、虫歯、口臭を防ぐ魔法の糸、それが「デンタルフロス」です。デンタルケア大国のアメリカでは”Floss or Die!”「フロスをするか、死か?」と言われるほど、デンタルフロスは重要視されています。欧米諸国では、歯周病がガン、糖尿病、心臓病、脳血管疾患、肺炎と関わりがあるということが広く知られています。歯周病を防ぐには、歯ブラシだけでは足りないのです。鍵は「歯間をきれいにすること」。
デンタルフロスには、どんな効果があるのか、使い方・・・デンタルフロスに関する疑問を解決して、今日からあなたもデンタルフロスを使ってみませんか?
1. デンタルフロスの効果
デンタルフロスで歯間汚れを取り去りましょう。歯間汚れとは、歯垢(プラーク)のことです。デンタルフロスは虫歯や歯周病を防ぐだけでなく、なんと口臭を抑制する効果もあると言われています!デンタルフロスについて、詳しくお伝えします。
1-1. デンタルフロスとは?
日本では10%の人しか使っていないといわれているデンタルフロス(※1)。デンタルフロスは欧米で100年以上も前から使われている、歯と歯の間(歯間)をキレイにする糸のことです。たくさんの細かい繊維を集めて一本の糸にしているため、歯間の汚れである歯垢を取ることができます。最近では日本でも歯間をキレイにすることの重要性が知られてきており、ドラッグストアでもデンタルフロスを見かけるようになりました。
歯周病の主な原因は、磨き残しのプラーク(歯垢) です。歯ブラシで届かない歯間部にはプラークが残りやすい!デンタルフロスの使用でプラークを効果的に取ることができることが、さまざまな研究により証明されています。
1-2. デンタルフロスで虫歯や歯周病を予防しよう!
歯ブラシでは60%しか落とせなかった歯間部のプラークを、なんと90%近くまで取り除くことができます(※2)。
本当に歯ブラシでの歯磨きと比べてプラークが落ちるのか?プラークが赤く染まる薬(染め出し液)を使って、実験してみました!
食後、前歯にべったりとついていたプラークを歯ブラシによって落とすことがきました。しかし歯間は赤く染まったまま・・・・やはり、歯ブラシが歯間に届いていないことが分かります。その後、デンタルフロス を使うことにより、歯間までスッキリし、ピカピカになりました!
1-3. デンタルフロスで口臭が抑制しよう!
口臭の原因として、「口内の菌」があります。プラークは菌の集まり、臭います。ご飯を食べ、歯と歯の間に挟まった食べかすをエサとしてどんどん菌の数が増えてしまいます。口内の菌の数が一番多いのが「朝起きたとき」です。寝てる間に口の中で菌が増えてしまうのです。朝起きて歯磨きをすると良いのは、菌が増えるのを防げるからです。睡眠中に菌が増えるのを防ぐために、寝る前はデンタルフロス を使ってプラークを取ることを忘れずに!寝る前と起きたときの歯磨きに気をつければ、口臭とさよならできます。
2. 歯間をキレイにできる、デンタルフロス以外のグッズ
歯ブラシでは届かない部位をキレイにできる、デンタルフロス以外のグッズをご紹介します。歯間ブラシとワンタフトブラシ です。それぞれのメリットとデメリット、おすすめを表にまとめました。
デンタルフロス、歯間ブラシ、ワンタフトブラシによって、特徴が異なることがわかります。歯間ブラシとワンタフトブラシ についてさらに詳しく解説します。
2-1. 手軽にすっきりさせたい人は歯間ブラシ
歯間ブラシとは、その名の通り、歯間を掃除するブラシのことです。歯間は人それぞれです。歯間にあわせてブラシのサイズも様々なものがあります。最近は歯周病予防などのCMで歯間ブラシを見かける機会も増えました。しかし間違った使用法により、歯ぐきを痛める危険性もあります!また、若い人は歯の隙間が狭い人が多く、歯間ブラシは入らない場合があります。
歯間ブラシがおすすめな人・・・
- デンタルフロスよりもっと手軽に使いたい人
- 最近すきっ歯が気になってきた人
2-2. 歯間ブラシが入らない人はワンタフトブラシ
ワンタフトブラシは、歯ブラシで届かない部分もきれいにできるブラシです。特に歯と歯ぐきの境目や、歯の裏側を隅々まで磨くことができます。まだ、ブラシが柔らかいので、針金が使われている歯間ブラシと違って、歯ぐきを痛める心配も少ないのが特徴です。
残念ながら、デンタルフロスや歯間ブラシと比べて、歯間をきれいにする能力は劣ります。
ワンタフトブラシがおすすめな人・・・
- 歯並びの悪い人…歯が複雑に並んでいる人でも、歯ブラシが届きにくい細かな部分まできれいにできます!
- 矯正中の人…歯ブラシの届きにくい、矯正のワイヤーと歯の接触部分も磨くことができます。
- 奥歯に歯ブラシが届かない人…奥歯の後ろは歯ブラシが一番届きにくい部分で、虫歯になりやすい部分でもあります。小さなお子さんの仕上げ磨き、生えかけの親しらずの歯磨きにもおすすめです!
3. デンタルフロスの種類
ドラッグストアに行くと、たくさんのデンタルフロスが並んでいますよね。「どのデンタルフロスを選べば良いのか迷ってしまう…」という方に、デンタルフロスを種類別にお伝えします!また、いつも使っているデンタルフロスに飽きてしまったという方のために、ちょっと変わったデンタルフロスもご紹介します。
3-1. 初心者は持ち手つきフロス
初めてデンタルフロスを使う方は、「持ち手つきフロス」 がおすすめです。これ、「糸ようじ」 のことです。糸を切って指に巻き付ける…という手間がいりません。楽ちんですよね。前歯はF字型フロスが使いやすいです。
幅広フロス30本入り(198円(税込)、エビス)※2021年3月22日時点
奥歯にはY字型フロスがおすすめです。
クリニカアドバンテージ デンタルフロス Y字タイプ 18本(274円(税込)、クリニカ) ※2021年3月22日時点
糸ようじに慣れたら、糸巻きデンタルフロスを使ってみましょう!
3-2. 慣れてきたら糸巻きデンタルフロス
初めてデンタルフロスに挑戦する!という方には、「ワックス付きタイプ」 をおすすめします。ワックスがついていることによって、歯間が狭くても滑りやすいので、歯間に通しやすいことがポイントです。
GUM・デンタルフロス (ワックス) 40m (612円(税込)、GUM) ※2021年3月22日時点
デンタルフロスに慣れてきた!という方は、「ノンワックスタイプ」 がおすすめです。糸にワックスがついていません。糸が水分によってふくらむ「スポンジタイプ」などもあり、ワックスタイプに比べて、より歯垢を落とすことができます。毎日使っていると、フロスの引っ掛かりによって、むし歯を見つけることもできます。
GUM・デンタルフロス (アンワックス) 40m (600円(税込)、GUM) ※2021年3月22日時点
糸巻きデンタルフロスは種類も豊富です。Y字ホルダーフロスと比べて、値段が安いのが特徴です。毎日使うことを考えると、糸巻きデンタルフロスの方がお得です!!
フロスで虫歯を見つけられるようになれば、「フロスの達人」かもしれません!
3-3. こだわり派のためのフレーバー付きやフッ素付きフロス
歯の状態や目的に合わせて色々なデンタルフロスが発売されています。楽しいフロスタイムにするために、こだわりのフロスをつかってみてはいかがでしょうか。
それぞれの特徴を見てみましょう。
種類 | 特徴 |
ホワイトニングフロス | 歯間の着色を除去する。研磨剤のシリカがフロスに練りこまれている。 |
フッ素配合フロス | 歯間部の虫歯予防にフッ素加工が施されている |
フレーバー用フロス | ミント付きなど、すっきり爽やかで米国の若者の間で人気! |
こども用フロス | バナナやオレンジ、イチゴやぶどうのフレーバー付きで楽しくフロス!細くて丈夫な糸を使用しているので歯間の狭いお子様にぴったり! |
デンタルフロスの相場価格は数百円~千円前後です。ぜひお気に入りのものを見つけてください。
4. デンタルフロスの正しい使い方
デンタルフロスはどうやって使うのか?使い方のポイントと気をつける事をお伝えします!
4-1. デンタルフロスの使い方のポイント
歯医者さんでフロスの使い方を習ったけれど忘れてしまったという方へ、デンタルフロスの使い方、ポイントをお伝えします。
【1】糸を指に巻きつけます。
- フロスの長さは、指先からひじまで40 cmが目安です。
- フロスの片側を左手中指に2~3回巻きつけます。
- さらに、両手の間隔が10 cmとなるように右手中指に残りを巻きつけます。
- 両手親指と人差し指でつまんで、ピンとはります。指の間は2cm離します。
【2】 歯間にフロスを斜めから入れ、ゆっくり前後に動かします。
両側にフロスが当たるように動かすのがポイントです!フロスは常に新しい部分を使います。
【3】 フロスが取れないときは、引き抜く!そして次の歯へ
フロスで次の箇所に移すときは、フロスを挿入とは逆方向にしてフロスを取ります。糸を巻きつけた片方の指からフロスを外して、前からゆっくりと引き抜きます。次の歯と歯の間を清掃するときは、使用した部分をずらして、新しい部分で【1】2.「フロスの片側を左手中指に2~3回巻きつけます」を繰り返してください。
4-2. デンタルフロスを使うときに気をつけること
(1) 歯ブラシの前にフロスを使いましょう!歯磨き粉を付けて、歯ブラシで歯を磨くと、スッキリした気分になりますよね。でも実は歯間汚れが残っていた!なんてことも…歯ブラシで歯を磨く前に、まずフロスで歯間汚れを落とすことをおすすめします。
(2) 歯ぐきを傷つけないようにしましょう!デンタルフロスを使うときに、力任せに入れると歯ぐきを傷つけてしまう危険性があります。歯に沿うようにして、ゆっくり入れましょう。
歯肉炎により歯ぐきが腫れている人は、初めてフロスを使うと少し血がでてしまうかもしれません。歯ぐきが引き締まってくると、血は出なくなります。正しいデンタルフロスの使いかたをマスターして、プラークを落としましょう!!
5. おわりに
いかがでしたか?デンタルフロスの効果、種類、使い方についてお分かりいただけたでしょうか。この記事ではデンタルフロス以外のツールもご紹介しました。大事なことは、「歯間をキレイにして歯垢を落とす」ということです!ライフスタイル、好みにあったツールを使って歯間をキレイにして、歯周病、むし歯、口臭とおさらばしましょう!
参考文献
※1 歯科関連疾患の予防マニュアル―オーラルケア製品―
※2 山本昇他.日本歯周病学会誌17,258~264,1975年