「昔つけた差し歯が黄ばんで、差し歯以外の歯と比べて目立ってしまっている…」「差し歯以外の歯が黄ばんでしまい、逆に差し歯だけが白く見えて困る…」というのが、差し歯がある人にとってよくある悩みだと思います。
歯のホワイトニングがあるのだから、差し歯もホワイトニングできるのではないかと考えると思いますが、ホワイトニングでは黄ばんだ差し歯を白くすることはできません。
差し歯を白くするには、根本的に差し歯を入れ替える必要があります。実は、差し歯を入れ替える際に知っておきたい3つポイントがあります。このポイントを押さえることで、差し歯が再び黄ばむのを阻止することができます!これでもう差し歯の黄ばみに悩むことはありません!
この記事では、差し歯が黄ばむ原因、差し歯を白くするために気をつけるポイント、差し歯以外の歯を白くする方法をご紹介していきます。
Contents
1. 黄ばんだ差し歯の原因とは?
黄ばんでしまう差し歯のほとんどは、保険の差し歯です。保険の差し歯が黄ばむ原因には、「素材の劣化」と「飲食物による着色」の2つがあります。
1-1. 素材の劣化
保険の差し歯の正式名称は「硬質レジン前装冠(ぜんそうかん)」です。レジンはプラスチックと同じ素材で、歯科用プラスチックとも言えます。レジンは水を含む性質があり、徐々に水を吸い込み素材が劣化していきます。レジンは劣化すると徐々に黄ばみが強くなっていきます。 お口の中は唾液にさらされていますから、入れたばかりの差し歯はキレイでも、1年半もすると徐々に劣化していき3年ほどで黄ばみが目立ってきてしまします。
現在のホワイトニングの技術では、差し歯の素材そのものを白くすることはできません。根本的に差し歯を白くするには、差し歯自体を入れ替える必要があります。
1-2. 飲食物による着色
レジンは素材が劣化しやすいだけでなく、元々、天然の歯よりも汚れや着色がつきやすい素材です。コーヒーや茶など色がつきやすい食品の摂取頻度が高いと、着色しやすくなります。 差し歯の“表面”についた着色なら、実はホワイトニングでも落とせますが、歯医者で行う歯のクリーニングのほうが一般的に費用が安いので最適です。
歯医者以外のホワイトニングサロンはクリーニングと同じ!歯医者で行うクリーニングよりも綺麗にならない場合も。
最近、「”汚れを分解するホワイトニング”なら差し歯の色を白くすることができる」とうたっているサロンなどがありますが、医学的に言えばそれはホワイトニングとは言えません。
「汚れを分解する」効果なら、歯医者で行う歯のクリーニングの効果と全く同じです。歯医者で行う歯のクリーニングなら歯と歯の間の着色まで一度で汚れを落とせますが、歯医者以外のホワイトニングサロンは何度も通う必要があるので、トータルでみるとコストと期間がかかってしまいます。
2. 差し歯を白くするために知っておきたいポイント3選
ここからは差し歯を白くする方法をお伝えします。歯を白くするというと歯のホワイトニングを思い浮かべると思いますが、残念ながら、ホワイトニングでは差し歯を白くすることはできません。黄ばんだ差し歯を白くしたいのであれば、差し歯を入れ替える必要があります。そこで入れ替える時に知っておきたいポイントを3つを紹介します。
2-1. 差し歯を入れ替えるならセラミックを選ぶ
差し歯の色が気になって差し歯を入れ替える場合は、セラミックの素材を選ぶことがお勧めです。差し歯の種類は大きく分けて、先ほどお伝えした保険の差し歯である「硬質レジン前装冠」と保険がきかない「セラミック」があります。硬質レジン前装冠で入れ替えると、また1年半~3年ほどで色が黄ばんでしまいます。
子ども用のプラスチックのお茶碗と大人用の陶器(セラミック)のお茶碗を思い浮かべてください。プラスチックは傷がついたり色がつきやすく徐々に黄ばんできますが、陶器(セラミック)はほとんど色の変化はありません。なので、同じ経験をしないためにも、セラミックで差し歯を入れ替えることがおすすめなのです。
「絶対セラミックじゃないとダメなの?」「硬質レジン前装冠でも入れたばかりはキレイだから、色が変わったら何度も入れ替えればいいじゃない?」と思うかもしれません。
でもそれは実際の治療では不可能なのです。歯は治療すればするほど小さくなり 、削れる余地がなくなるので、何度も治療できません。差し歯を入れ替えられるのは、1度か2度、よほどラッキーな場合でも3度が限界です。
抜歯になってしまったら、インプラントかブリッジか入れ歯です。インプラントはたった1本で30~40万円、セラミックのブリッジはセラミック3本分の費用がかかります。ですから、できるだけ変色しない差し歯であるセラミックを入れることが、色の変化が気にならず、長い目で見て費用がかからない治療 と言えます。
歯の治療回数は、最大5回
1本の歯で治療できる回数は平均で5回目までというデータがでています。治療できなくなってしまうと抜歯になります。
1回目)小さい虫歯になって、レジン(歯科用プラスチック)を詰める。
2回目)レジンの周りから虫歯になって、歯の神経近くまでレジン(歯科用プラスチック)を詰める。残っている歯は小さくなる。
3回目)レジンの周りから虫歯になって、歯の神経を取り出し、歯を入れる。歯は根っこだけになる。
4回目)歯の神経を取ると5~10年ほどで歯の根っこの先が膿んで痛みがでる。歯の根の治療(感染根管治療)を行い、差し歯を入れ替える。歯の根っこはさらに薄くなる。
5回目)歯の根の治療(感染根管治療)後、5~10年ほどで歯の根っこの先が膿んで痛みがでたり、あるいは歯の根が割れてしまう。歯は残せないので抜歯となる。
歯が抜けたら)インプラントか入れ歯かブリッジの治療
歯を長持ちさせるには、何回も治療をしないのがコツです。
保険外の治療であるセラミックや金歯は、劣化しにくく、歯によい素材のため、長持ちします。ですが、保険治療の材料の場合、どんなに歯磨きをがんばっても、限界があります。歯は一度治療すると、治療した歯の境目から虫歯になってしまいます。これを二次う蝕(二次カリエス)といいます。
治療回数が増えれば増えるほど、費用がかかってしまいます。保険外の治療の相場は、1回目、2回目では3万円ほど、3回目4回目の差し歯の治療で10~15万円、インプラントは30~40万円、セラミックのブリッジは差し歯3本分なので30~45万円です。1回目2回目の時に歯によい素材で治療すると、3回目の治療を先延ばしにすることができ、長い目で見ると費用もかからず歯が長持ちする ことになります。
2-2. セラミックは金属を使用しないもの選ぶ
セラミックは金属を使用しないものをおすすめします。差し歯のセラミックといっても様々な種類があり、大きく分けて2つあります。1つは、金属の裏打ちがある「メタルボンドクラウン」。もう1つは、金属の裏打ちがないセラミック(「オールセラミッククラウン」か「ジルコニアクラウン」)です。前歯に入れるのであれば、金属の裏打ちのないセラミック (「オールセラミッククラウン」か「ジルコニアクラウン」)がおすすめ です。
金属の裏打ちがあると、歯と歯ぐきの境目に金属の色が見えてしまいます。また、少しでも歯ぐきが痩せてしまうと金属が目立ってしまいます。せっかく人目につく前歯に、セラミックの差し歯を入れるのであれば、ここはケチらないほうがいいでしょう。
また、差し歯は「コア」という土台を歯の根の中に入れる必要があります。金属製のコアだと歯ぐきが黒ずんでしまう原因になりやすいので、金属を使用しないものがおすすめです。
2-3. 症例数が多い歯医者やホワイトニング専門店で治療をする
セラミック治療をする際は、症例数の多い歯医者やホワイトニングの専門の歯医者 で治療を受けましょう。
実は、セラミックの差し歯を作るのは歯科医師でなく歯科技工士です。歯科医師にも審美歯科が得意な歯科医師がいるように、歯科技工士も審美歯科専門の技工士がいます。本当に上手な歯科技工士はセラミックの色の調整が上手で、天然の歯と同じようにできますが、経験がない(症例数が少ない)となかなか微妙な色合いがだせません。
審美歯科やホワイトニング専門の歯医者では、上手な歯科技工士と提携しているため、同じセラミックとはいえ、症例数が多い歯医者で治療したほうが、仕上がりが格段にキレイです。
3. 応急処置的に歯を白くしたいなら『歯のマニキュア』
差し歯をセラミックにするのは費用がかかるので、すぐ対応できない場合の対処法として、歯のマニキュアがあります。歯のマニキュアとは、歯の表面に白いコートを塗り、歯を白く見せる方法です。長時間付けられるものではないため、効果の持ちは短いですが、ここぞ!というときに手軽に歯を白くするのに向いています。
注意していただきたいのが、差し歯へのマニキュアの接着力は弱く外れやすい という特徴があることです。そのため常時マニキュアを付けるというよりは、応急処置的に使うと良いでしょう。歯のマニキュアの詳細については以下の記事で紹介しております。
歯のマニキュアはやるべきではない?やって気づいた問題点とリスク
4.差し歯がある人のホワイトニング方法
差し歯以外の歯も合わせて白くしたい方もいるのではないかと思います。
ここでは
- 「これから差し歯を差し替えようと思っており、他の歯も一緒に白くしたい方」
- 「セラミックの差し歯が既にあり、差し歯以外の歯が黄ばんでしまったから白くしたい方」
の二つに分けて、差し歯以外の歯を白くする手順を紹介します。
4-1. 差し歯を差し替える前にホワイトニングをするケース
黄ばんだ差し歯をセラミックの歯に入れ替えようと決めた方の中には、「せっかく差し歯をセラミックに替えるなら、少しでもキレイな歯にしたいわ。」と他の歯のホワイトニングも希望される方も多いです。その場合、ホワイトニングをして周りの歯を白くしてから、その色に合わせてセラミックを入れましょう。 なぜならホワイトニングで微妙な歯の色の調整をするのはとても難しいためです。一方で、セラミックの歯の色は微妙な色の調整も可能です。なので、先にホワイトニングで歯の色を決めてから、セラミックの色を合わせていきます。
それだと「ホワイトニングをしている間の差し歯は黄ばんだままなの?」「周りの歯をホワイトニングしたらもっと差し歯の色と差が出てしまうのでは?」と不安になりますよね。
でも大丈夫です。差し歯を入れ替える時には、ホワイトニングの前に差し歯を外して白めの仮歯を入れて、ホワイトニング中も気になる色の差を目立たなくさせることができます。差し歯を入れ替える場合は、歯の根の治療(感染根管治療)が必要なことも多く、その場合はホワイトニング中は、歯の根の治療とホワイトニングを同時に行います。
4-2. セラミックの差し歯が既にありホワイトニングするケース
「以前セラミックの歯にしたけど、他の歯が黄ばんでしまって、セラミックの歯が目立ってしまっているからこの差をどうにかしたいわ」という方は、セラミックの歯を避けて、ホワイトニング剤を塗り歯を白くしていきます。
先述のとおり、ホワイトニングで微妙な歯の色の調整するのは難しいです。ホワイトニングで周りの歯の色をなるべくセラミックの歯の色に合わせるためには、ホワイトニングの症例数が多い(経験のある)歯医者で歯を白くすることをおすすめします。
5. おわりに
いかがでしたでしょうか。気になる差し歯の黄ばみを改善させ、白い歯をずっと保ちたいのであれば、セラミックの差し歯に差し替えることをおすすめします。差し歯を替える回数には限界があり、最悪抜歯になり、何度も差し替えることはできません。だからこそ長持ちするセラミックを選ぶことがおすすめなのです。
また前歯であれば特に、金属の裏打ちのないセラミックを選びましょう。金属の裏打ちのないセラミックで、金属が目立たない美しい口元を見せることができます。いつまでも白く健康な歯でいるために、この記事の情報が参考になれば幸いです!